はじめての労災手続き-施設内感染を認定させた(経験談)

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はじめての労災手続き(経験談)

〝施設内感染を認定させた〟

私は県内の介護施設で働いています。昨秋、利用者がある感染症を発症しました。保健所への届出が必要な病気ですぐ保健所の人が来て、感染の可能性のある職員に検査を実施しました。
年明け後、検査結果が陽性だと知らされました。実はこの法人では別の施設でも集団感染があり、その時にも検査が行われましたが、その時は陰性でした。当然、この利用者から感染したと考えられるため施設に労災の手続きを申し込みました。

「業務災害」が認められるためには、労働者の仕事と発生事故(病気)との関係において「業務遂行性」「業務起因性」がなければならないとされています。今回の感染は、この施設で働いていれば予想される感染だったわけで労災は当然のことであり、事業主の責任を明確にし、今後の防止のためにも労災手続きは必須でした。
ところが施設側は当初、「労災手続きはできない。今回の感染症の場合は、(本人負担が少額で済む)公費負担制度があるのでそちらを使ってくれ」と説得されました。
それでは納得できませんので、自分で手続きしますからと言って労災申請書を持っていき、事業所名・所在地の欄だけ書いてもらいました。書類はすべて自分で作成し、労基署へ提出しました。

保健所でいくつか病院を紹介されたのですが、大きな病院は混むと思いクリニック(診療所)にしました。ところが初診の日、受付で「うちは労災指定病院ではない。労災は扱ったことがない」と言われました。
労災指定病院であれば、治療費は病院が直接、労働基準監督署に請求するのですが、指定病院以外の病院では、治療費を現金で10割支払い、その後、自分で労基署に請求しなければなりません。
労災に不慣れな医師も開口一番、「感染症は労災だと証明できない(他所で感染の可能性も否定できない)」と否定的なことを言いました。
n0072_04_01a 私も弱気になり、公費負担制度と労災の同時申請ができるのかなど各方面に電話で問い合わせたりしている内に精神的に消耗してしまいました。最終的には腹を括って「これは労災だ。プライベートの病気ではない。施設の責任をはっきりさせないと今後のためにも良くない」と労災申請1本に絞りました。
医師は当初、「半年の治療期間終了まで労災申請書に証明はできない」と言いました。しかし労基署は調査が必要なので早い方が良いとのこと。まず2カ月分の治療費を先行申請することにしました。

紆余曲折あって申請手続きは大幅に遅れました。不安なまま待つこと2カ月。労基署からやっと事前確認の電話が。「これから調査に入ります」と。さらに1月後、忘れかけてた頃に支給決定通知が届きました。

労災保険を初めて使った感想は、手続きなど初めてのことだらけでとても気力体力を使いました。最初から労災指定病院に行っておけば良かったとも思いましたが、各所に問い合わせたり、書類を作成したり、やればできるんだと自信になりました。経験しなければ何も始まりません。

労災かどうかは会社が決めることではありません。最初は医師や管理者も労災に否定的だったけど、ちゃんと労災をかちとって正しさを結果に示せてよかったです。
今回の感染症は、夜勤があまりに多く、免疫の低下など諸原因が背景にあります。個人の闘いに終わらせず、これを錦の御旗に職場全体の安全確保・労働条件向上の闘いにしていきたいです。

ちば合同労組ニュース 第72号(2016年7月1日発行)より