連載・介護労働の現場から 〈24〉

辞めると言ってない

あと、2日でクビ?
「言ってること分かっているの?」。私は思わず聞き返した。
管理者はうろたえた様子で「あらかんさんの代わりに本社からは応援にきてくれない。早く次の人、募集しなきゃ。それには、あらかんさんがいては募集できない」。
「休職規則はないの?」
ふたりで就業規則をめくってみたが、休職に対する項目はない。

これまで8か月ちょっと、施設の開業当初から、環境整備、ケアや食事、いろいろな体制を管理者とともに作り上げてきた。
「名ばかり店長」で苦労している彼を支えてもきたが、これでも管理者。管理者にとって労働者は駒にすぎない。役立たずとなれば、すぐクビ、プレイヤー交代というわけだ。でも、サッカーではないのだよ。教えてやらなきゃ。
「私は辞めるとは絶対言ってないよ。辞めてほしいというのは退職勧奨と言って会社都合なの。もし、会社都合で労働者を即クビにしたければ、1か月分の給料をはらうか、あるいは、一か月前に解雇予告をするか、どちらかをしなさいという法律があるの」
管理者は、「どっちかね。わかった」と軽く言い、本社の社長に聞いてみるね、と答えた。

解雇通告の10日の2日後、本社から電話が来て、社長と面談するために職場に行った。管理者は不在だった。介護ベンチャーを立ち上げた社長は33歳で、ワンマンでなく親しみやすく、協調して事業を進めていくタイプだ。
社長は「あらかんさんが辞めるとは残念ですね。別に給料締日にやめる必要はないんですよ」。と切り出した。辞めるとは言ってないとあれほど管理者にくぎを刺していたのに伝わっていない。
「私は自分から辞めるとは絶対言ってないですよ。管理者が辞めろと言ってるだけです」
「おかしいな? 管理者から、あらかんさんがケガして辞めたいと言ってると連絡を受けたので、僕はもう人の募集を始めているよ」と社長が言った。
言った言わないの水かけ論に持ち込みたくなかった。
管理者にとってみれは、私はこれまで彼を差し置いていろいろ仕切ってきたし、労働条件などの度重なる要求もうっとうしかったのかもしれない。

n0058_03_01 やる気がプッツンと切れた。
私だってこんな労働環境がめちゃくちゃな職場に居続けたいわけではない。条件がクリアされれば辞めてもいいかなと思った。
「どうしても解雇したいなら条件があります。(1)解雇予告通知をだして下さい。(2)その間、残っている有給を支払ってください。(3)健保からの傷病手当金の申請をしてください」
そうして次の職場を探そう。
(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第58号(2015年5月5日発行)より