厚生労働省検討会 無期転換ルールの見直しを議論
厚生労働省は、2018年4月に始まった労働契約法の「無期転換ルール」の見直しを議論する有識者検討会を立ち上げ、すでに数回の会合を重ねている。
いわゆる無期転換ルールは、同じ企業とのあいだで有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換される制度だ。2018年4月から権利行使が出来るようになっている。
無期転換については、労働契約法の附則に〈施行後8年で再検討し、必要な措置を講ずる〉とある。今回はこれに基づく検討という形になっている。
検討会は「多様な正社員」の雇用ルールについても議論をしている。今秋にも報告書を取りまとめ、労働政策審議会のたたき台にする方針のようである。非常に重大な動きで要注意だ。
検討会の場で厚生労働省は、無期転換の権利行使は3割にとどまっているとの実態調査を公表した。調査によると、18年度、19年度に権利が発生した人のうち実際に権利を使ったのは27・8%。企業規模別では、従業員1000人以上で39・9%だったのに対し、5~29人では8・6%にとどまる。中小企業の方が権利行使する人の割合がかなり少ない。
「無期転換を希望する」と答えた労働者は18・9%、「希望しない」が22・6%、「わからない」が53・6%。「わからない」と答えた人のうち無期転換ルールについて知らないと回答したのは53・3%。希望しない理由としては「高齢だから」「現状に不満はない」「契約期間だけなくなっても意味がない」などが目立つ。
無期転換の権利行使をした有期労働者のうち、女性が79%を占め、年代別では50代が41・7%、40代が29%で合計7割を超えていることは興味深い。
検討会の論点としては、無期転換を希望する労働者に対する機会の確保や、無期転換前の雇い止めの防止、無期転換後の労働条件なども議論されているようだが、議論の全体像としては、そもそも検討会の名称が「多様化する労働契約のルールに関する検討会」とあるように、雇用の流動化や多様化を誘導する意図があることは明かだ。無期転換ルールの位置付けについても注意深く議論を見ていく必要がある。
ちば合同労組でも、無期転換の権利行使、あるいは転換させないための雇い止め問題はかなり大きなテーマだ。
ちば合同労組ニュース 第135号 2021年10月1日発行より