日米首脳会談―日米安保同盟、最大級の大転換

その他
●米軍・自衛隊の指揮統制連携
 岸田首相が4月8日から14日まで訪米し、米バイデン大統領と日米首脳会談を行いました。今回の首脳会談で日米安保の大転換 が確認されました。重大な事件です。
 具体的には自衛隊と米軍の「指揮統制」の連携強化、米英豪の軍事同盟「AUKAS(オーカス)」との連携、日米の軍需産業に関する定期協議の新設など安保分野での協力の深化が打ち出されました。
 共同声明では、日米同盟について地球規模で共同展開する「グローバル・パートナー」と位置づけ、「日米同盟は前例のない高みに到達した」と強調しています。
 
●「台湾有事」念頭に
 自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化は、自衛隊側の事情としては、敵基地攻撃能力の保有や陸海空自衛隊の部隊を一元的に指揮する統合作戦司令部の設置により運用面の調整が不可欠になっています。
 自衛隊が巡航ミサイル「トマホーク」を米国から導入し、米陸軍もアジア太平洋地域に中距離ミサイルの新たな配備を進めています。日米双方で中長距離ミサイルを運用するのに指揮統制の調整が必要なのです。実際に戦争が始まった場合、日米共同で攻撃を行うということです。
●格子型の軍事同盟
 日米会談に合わせて日米比首脳会談も開かれました。
 米国を中心とする「ハブ&スポーク」型の軍事同盟から、日米韓や米英豪、日米豪印など複数の軍事同盟の枠組みを多層的に重ねる格子型、ネットワーク型の対中国戦争態勢をめざすことを構想しているとのことです。その中核に据えられているのが日本です。
 軍事産業の連携については、日米でのミサイル共同開発・生産、米軍の艦艇や航空機の日本の民間空港での整備なども進めます。武器の開発や生産、維持整備を促進するための定期協議「DICAS(ダイキャス)」の新設も決まりました。軍需産業の存在感が巨大になります。
●進む南西シフト
 以上に対応して、自衛隊が平時から民間空港や港湾を利用できるように整備する政府の計画が動き出しています。
 「特定利用空港・港湾」として全国7道県16施設が選ばれ、戦闘機や護衛艦も使用できるように滑走路の延伸・強化や岸壁の整備・海底の掘り下げなどを行う巨額予算も計上されました。
 さらに政府は、沖縄の先島諸島の石垣市、宮古島市、与那国町、竹富町、多良間村の5市町村を対象にシェルター(「特定臨時避難施設」)整備の方針も発表しました。
 この間、与那国、宮古、石垣各島に陸上自衛隊の駐屯地を開設やミサイル部隊の配置など「南西シフト」が進んでいます。敵基地攻撃のための長射程ミサイルの配備も進めています。
 自衛隊は、血液製剤の確保・備蓄のために隊員25万人から採血、島嶼部で冷凍保存が可能な凍結赤血球製剤の製造・備蓄の準備も進めています。
 オスプレイや自衛隊ヘリの墜落事故が相次ぐが、在日米軍はオスプレイ32機を普天間や横田基地(東京都)などに駐機させ、陸上自衛隊は14機を木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備し、佐賀県内に移住する計画が進行している。
ちば合同労組ニュース 第166号 2024年05月1日発行より