紹介『日本が売られる』(堤未果著)

社会崩壊に立ち向かうには

 『貧困大国アメリカ』著者として知られるジャーナリスト堤未果氏の最新作。安倍・改憲の裏で何が起きているのか? 日本社会でいったい何が動き出しているのかがわかる一冊。書店の新書売上でも1位にランクインした。

社会丸ごと民営化

 少し本の紹介をしたい。冒頭から「水が売られる」「土が売られる」「タネが売られる」……と立て続けに並ぶ章タイトルが衝撃的だ。一握りの巨大資本に日本の公的資産がタダ同然で投げ売りされようとしていることが、これでもかと続く。本書の全体を通じて、〈日本の資産、私たちの未来が売られる〉ことが浮かび上がるというわけだ。
 今回は、水・農漁業・種子・食品など人間が生活するために必要不可欠な分野における深堀がなされている。
 代表的な例は、築地市場だ。問題の核心は、「築地か、豊洲か」ではなく、築地市場解体それ自身に目的があると筆者は書く。すべての目的は「大手スーパーや食品メーカーのために卸売市場を労働者民衆から奪うことだ」と。

労働現場も激変

 労働問題についても、「働き方改革」関連法による過労死や労働破壊を取り上げる。この内容については、もはや言うまでもない。これと一体で進められたものが、「外国人労働者(移民)50万人計画」だと筆者は強調する。
 その目的は、労働市場において競争をつくり出し、労働者全体の賃金を押し下げ、社会全体が過労死にひた走るような状況をつくることだ。

生存権守る闘い

 安倍政権は秋の臨時国会で、新たな在留資格創設を盛り込んだ入管難民法の「改正」、水道事業の民営化法案などを狙っている。
 このなかで麻生大臣が「不摂生で病気になった人に医療費を支払うのはアホらしい」とうそぶいたように、医療費の削減であり、年金支給年齢の引き上げ、消費税10%値上げなど、労働者大衆の生存権をおびやかす大攻撃を狙っている。
 安倍「改憲」の裏で進められていることを見逃してはならない。これは「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と謳った憲法25条を骨抜きにするものなのだ。
 最後に、著者はこうした社会の崩壊と立ち向かうためには、まず真実を知ることが第一歩だと指摘する。水の民営化が破綻した例や協同組合の立ち上げなど、新自由主義に抵抗し、食い止めた海外の例があげられていることも付け加えておきたい。
(組合員K)

ちば合同労組ニュース 第100号 2018年11月1日発行より