西成高校「反貧困学習」で感じたこと

公務員・教育

西成高校「反貧困学習」で感じたこと

 

 

 NHKのドキュメンタリー番組『逆転人生』で、大阪市西成区の府立西成高校を取り上げていた。西成区は貧困層が多く、親から子への「貧困の連鎖」が問題となっている。
 西成高校は教育困難校とされ、生徒たちも学校への不信感も強く、年間100人の退学者があった。生徒たちに何が起きているのか? 教員たちは生徒の家を訪ね歩く。多くの親たちが非正規雇用やシングルマザーで生活苦から育児放棄が生じ、生徒たちは次第に夢や希望を失う。厳しい状況が連鎖してく状況は想像以上に深刻だった。

 

 「生活苦だけではない。人間関係の貧困が…西成ではいち早く顕在化している」「生徒に学校に来てもらうには貧困問題をなんとかしなければ」――教員は投げ出さず議論を重ねた。「ここで負けたら終わり、最後の砦」との思いが支える。
 生徒たちは自らが貧困状態にあることを理解していない。しかし生徒に向かって「あなたは貧困」と言うのか? そこで始まったのが「反貧困学習」。労働者を守る法律や制度を教えたのだ。思いのほか生徒たちが耳を傾ける。
 誰にでも起こり得る雇い主からの不当や扱い。風邪で休んだだけで解雇された。不当だと思ったけどどうしてよいのかわからない――「皆さんならどうしますか?」と生徒に問いかける。「バイトだから仕方ない」「泣き寝入りかな」「労働基準監督署って知っていますか?」「解雇予告手当が請求できる」と具体的に教える。
 反貧困学習をきっかけに就職への意欲を持った卒業生も。この授業をきっかけに非行や中退が激減し生まれ変わった。合同労組の今後の活動について一つの示唆を得た気がしますので議論したい。(組合員S)

 ちば合同労組ニュース 第127号 2021年2月1日発行より