映画紹介『メイド・イン・バングラデシュ』

労働映画

映画紹介『メイド・イン・バングラデシュ』

 バングラデシュは輸出の8割をファストファッションなど衣類が占める縫製工場が集中する国だ。2013年、ラナプラザ崩壊事故で1100人を超える労働者が生き埋めになる大惨事が発生。最貧国の女性の安い労働力でコストパフォーマンスの良い商品を大量生産するグローバル資本の酷さを鋭く示す象徴として知られてきた。

 映画は、過酷な環境で働く女性たちの実話をもとに作成された。労働組合の結成に向けての物語だ。主人公シムの1人称の姿を通して描かれる。
 火災事故で同僚を亡くしたシムは、労働者権利団体ナシマと出会い組合結成を決心する。バングラデシュでは労働組合を結成し、工場と直接交渉するためには、職場の3分の1の署名が必要だ。この署名を集めるのために奮闘するシム。しかし、会社・同僚・家庭などから、さまざまな抵抗や障害に直面する。この一つひとつの困難を仲間と共にのりこえ成長していくシム。全編を通して、組合結成への物語をぐいぐいと疑似体験できる内容だ。
 バングラでは労働組合法はきちんと施行されず、格差や性差別や刑事弾圧など実に厳しい。現在もバングラの労働環境はあまり変わっていないが、2019年には繊維工場の大ストライキが闘われた。

 日本とバングラでは制度や条件の違いこそあるが、この映画を見れば組合結成へのイメージがわきやすくなると思う。若い労働者にこそ見て欲しい、おすすめの映画です。現在、神保町岩波ホールで上映中です。

ちば合同労組ニュース 第142号 2022年5月1日発行より