連載・介護労働の現場から〈あとがきにかえて〉

組合活動

連載・介護労働の現場から 〈あとがきにかえて〉

年寄りは未来 魔法とパイオニア精神で乗り切ろう

36回・3年もの連載、ずっと読んでくださった方に感謝の気持ちでいっぱいです。

連載にある通り、私は、介護職の最初の職場は8か月、2度目はたった2か月で退職した。その時点で2013年1月。普通なら、こんなめんどくさい業界、自分に向いてないと辞めてしまうところだろうが、それから転職を繰り返し、さらに3年以上も介護労働を続けている。
正直、人生これまででこんな難しい職種はない。慣れるということがない。でも仕事にハマっているし、スタッフはみんな各々チャーミングだし、利用者にもさほどストレス感じないし、この仕事が好きだ。
歳なので、体のちょっとした不調や故障はあるが、「60代には60代にしかできないケアの役割がある」と思っているばかりか、そう公言してスタッフにきつい身体ケアを代わってもらったりする。
たとえば、身体ケアを拒否する認知症利用者をその気にさせて、排泄や入浴の場所に移動させるのは上手いんだよ。ピリピリ、ギスギスしている空気を和やかで癒される空間に変貌させるのも得意。
介護は魔法だ。ビビディ・バビディ・ブー

日々、お年寄りと接していると、お年寄りは役割を終えて、お荷物になっている不用品ではない。介護職でない人は一度、身近なお年寄りをじっくり観てほしい。いなければ街でお年寄りをじっくり観察してほしい。そのお年寄りこそが私たちの未来なのだ。
ところが、現在この国を支配している、人間より金や効率を重んじる新自由主義的な考え方では、年寄りは早く死ねという価値観しか生まれない。
また、この国では人種、性別と並ぶ三大差別である年齢差別(エイジズム)がいまだに公然とまかり通っている。

こんな時代には、介護労働者は、やさしさや思いやりより、パイオニアの勇気が必要だ。陰の存在ではなく、ロールプレイゲームの主人公になってみる。めざすは広々とした開拓地と解放されたハッピーな未来。敵は次々と襲ってくるが、簡単にゲームオーバーにはさせない。次々と仲間をゲットし、一緒に闘おうよ。
n0071_03_01a そして、いつの日か、私たちはゲームをクリアする。人々は金や効率だけでない生き方をするようになる。そういう社会になれば、介護も介護労働も自ずから変わっていく。だから、私もこれからも夢見る瞳を携えて、介護の仕事を辞めないで頑張るつもり。

難しく感じたら
それが戦うときよ
あなた次第
全力でぶつかって
あなたの未来は

(あらかん)

ちば合同労組ニュース 第71号(2016年6月1日発行)より