休業支援金の個人申請について/職場と労働法

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休業支援金の個人申請について

第6波で長期休業せざるを得ないケースが増加

 新型コロナウイルス感染症の第6波の特徴の一つとして、保育園や小学校に通う子どもの感染者数が増加していることがあります。その影響で休校・休園も激増し、あるいは実際に子どもが感染した場合の世話などで最短で5日程度、実際には10日~2週間超の長期休業が必要になる場合も多い。
 複数の子どもがいる家庭では家族で順番に感染して長期に及ぶケースも聞きます。年次有給休暇で対応するのは限界があり、保育園や小学校に通う子どもを持つ労働者とって特別休暇制度や休業支援金・給付金は切実な問題です。
 もちろん、職場における感染予防の観点、あるいは福利厚生などの観点から、使用者の責任で特別休暇制度などを設け、労働者が安心して休むことができるようにすることが第一です。使用者の判断・責任による休業として100%の賃金補償を求めるのは当然のことです。
 その上で、厚生労働省は、「小学校等休業対応助成金」制度を創設しています。これは、コロナ問題の勃発直後の2020年2月に創設され、一時中断をはさんで現在は再開され、今年3月18日に6月まで延長されることが発表されました。

個人申請もできる

 「小学校等休業対応助成金」は、臨時休校した小学校に通う子どもの世話を保護者として行うために有給休暇を取得した場合や、感染あるいは濃厚接触の子どもの世話を保護者として行うために有給休暇などを取得した場合に、この有給休暇における賃金補償の補填として、使用者が助成金を受ける制度です。
 しかし、使用者が助成金の手続きを厭い、特別有給休暇制度を創設しない場合、労働者は年次有給休暇を取得せざるを得ず、さらに年休がなくなれば無給で仕事を休まざるを得なくなり、長期休業の場合ではきわめて困難な状況に陥ります。
 このため「個人申請(一般に『休業支援金』と呼ばれている)」を行うこともできることになっています。しかしこれは例外的な取り扱いであり、その要件は非常に厳しく、実際に申請を行って受給に至る労働者の数は少数にとどまっています。
 具体的に個人申請が認められるためには、使用者が小学校休業等対応助成金について必要な措置を取らない状況で、子どもの小学校などの臨時休校などの影響で仕事を休んで、賃金が支払われていないことが必要となります。
 さらに実際の手続きにあたっては、労働者が個人として労働局に相談し、続いて労働局が使用者に助成金の活用や特別休暇制度の創設などを働きかけるが、使用者がそれに応じないこと、あるいは事業主記載欄の記入や証明書類の提供なども必要で、きわめて煩雑でハードルが高かったのです。

要件の一部緩和

 強い批判もあり厚生労働省は2月8日、個人申請(休業支援金)の要件を一部緩和しました。労働局は、まず労働者個人からの申請を受け付け、引き続き労働局が〈事業主に休業させたかどうか〉の確認を行うこととなりました。また労働者は、使用者への働きかけ(特別有給休暇制度の創設の要求や相談)ぬきで労働局で申請することもできることを周知するとの表明もなされました。つまり労働者は、労働局に対してダイレクトに相談・申請が可能になったのです。
 もちろん劇的に個人申請が容易になったとは思えません。しかし、上記のような事情を把握して臨むかどうかで、ずいぶん結果も変わると思います。

6月分まで申請可

 小学校等休業対応助成金だけでなく休業支援金・給付金制度一般について少し復習すると、厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響で休業(時短勤務やシフト削減を含む)となり、なおかつ賃金補償を受けることができなかった労働者に対して、休業支援金・給付金の制度が創設されています。
 休業支援金の支給を申請する際、使用者の協力を得て書類を作成すればもちろん審査は早く進みますが、仮に使用者が協力しない場合でも、労働者がそのことを書類に記載すれば個人として申請することができます。
 申請期限は、2021年10月から2022年3月分は、22年6月30日まで。22年4月から6月分については9月30日まで。金額は、平均賃金の80%×休業期間の日数。支給額の上限は低下しており、今年1月からは8265円となっています。 
 雇用保険に加入していない学生アルバイトも対象です。国籍を問わず日本国内で働く労働者はすべて対象であり技能実習生も対象です。

ちば合同労組ニュース 第141号 2022年4月1日発行より