クライマーズハイ

労働映画

映画紹介『クライマーズハイ』

 520人が死亡し、史上最悪の事故となった日航123便墜落事故。事故現場となった群馬県の地元新聞社を舞台とした映画だ。観たのは2回目。かなり昔だが小説も読んだし、ドラマ版も観ました。お仕事映画としてもおすすめ。

 85年8月12日夕刻、「524人を乗せた日航123便が消息を絶った」のテレビ速報が飛び込む。編集局は騒然となりベテラン記者の悠木が取材・出稿を仕切る全権デスクに任命される。若い記者たちは空前絶後の事故現場に向かう。
 悠木の口癖は「チェック、ダブルチェック」。子どもの頃にみた映画の主人公の新聞記者の台詞だ。この台詞を言うために新聞記者になったと語るシーンがある。
 映画は、事故を追うというよりも、悠木率いる現場記者たちvs社長・編集局長らの経営陣との葛藤、飲めば昔の連合赤軍事件(群馬県が舞台)の手柄話を繰り返す社会部長の嫉妬、はたまた広告・販売部門との衝突など、新聞社内の複数の対立軸が複雑に交差する様子を描く。緊張感が最後まで続く。
 当時は携帯電話もなくメモ用紙を手に近所で黒電話を借りて原稿を読み上げる場面、あるいは、その日の紙面作りの方針を立てる編集会議、出稿や紙面レイアウトで社内を走り回るシーンなど新聞社での仕事の描写も興味深い。
 映画の最終局面、圧力隔壁の破損を原因とする事故調の情報が飛び込む。これを報じれば全国紙を出し抜き世界的スクープとなるのは間違いない。悠木は部下の記者たちに慎重なウラ取りを指示する。原稿締切が迫る中、悠木は二者択一の決断を迫られる。「チェック、ダブルチェック」。悠木がつぶやく。はたしてラストは? 俳優陣もなかなか豪華です。

ちば合同労組ニュース 第105号 2019年04月1日発行より