錐―明日への光―

労働映画

ドラマ紹介 『錐―明日への光―』(1~6話)

 韓国で2015年に放送された連続テレビドラマ。世界各地にスーパーマーケットチェーンを展開するフランス・カルフールが韓国資本に売却し、ホームエバーと名前を変えた大型スーパーで実際にあった労働争議がモデル。過去にも『外泊』『明日へ』で映画化された。日本語字幕で販売・レンタルあり。全12話で6話まで視聴したので今回はそこまで紹介。
 ちょっと気弱だが不正義には我慢できない主人公イ・スイン。軍隊生活の不条理に耐えられなかった彼は除隊して大型スーパーに就職し、課長になる。経営陣がリストラを発表、「手段を選ばず非正規販売員を辞めさせろ」と命令を受ける。労働組合の結成を約束した同僚たちが裏切って退職強要に躍起となる姿を目の当たりにし絶望に陥るスイン。
 そんなある日、名刺を頼りに労働相談所を尋ねる。ク・ゴシン所長は軍事政権下で拷問を受けた経験もある筋金入りの闘士で、現在は労務士となり労働相談所を運営している。
 様々な困難にぶつかりながらスインは、労働者の権利や労働組合の組織化についてゴシン所長から学び、実地で経験していく。所長の〝講義〟はドラマの見所の一つで、労働組合の権利や労働者の組織化について、さらには会社による懐柔と脅迫など様々な局面を芝居がかった調子で縦横に語る。
 12話に向かって争議は勝利のエンディングに向かうと思いますが、6話まで観た感想は、労働者の団結を作るのはかくも困難なのか、と見ていてツライ気分。不正義に従うことを拒否した主人公が孤立、団結を求めて立ち上がった労働者が対立…。組合運動をやった人なら経験する困難な場面が目白押し。もちろん感動し、元気になり、教訓になるシーンもある。

ちば合同労組ニュース 第112号 2019年11月1日発行より