映画紹介『ここから「関西生コン事件」と私たち』

労働映画

映画紹介『ここから「関西生コン事件」と私たち』

 関西生コン労組に対する未曽有の組合つぶし攻撃の渦中にある組合員たちの姿を描くドキュメンタリー映画。土屋トカチ監督。シングルマザーで子育てしながら生コン運転手になった松尾聖子さん、子どもを保育園に通わせるために就労証明書を会社に要求したことが強要未遂罪に問われ逮捕・勾留された吉田修さんら現場組合員、640日もの長期勾留された湯川委員長などが登場する。

 松尾さんは3人の子どもを育てるシングルマザーだった。大型免許を取って生活保護から抜け出そうとするが彼女を雇う会社は見つからない。そんな時、友人の紹介で生コンの運転手に。そして、関西生コン労組と出会う。日々雇用だったが労働組合に加入したことで残業代が支払われ、社会保険の加入も。生理休暇(特別休暇)など女性の就労環境も改善させ、正社員にもなった。仲間との組合活動を通して労働者の尊厳や仲間との絆を感じるように。
 関西生コン労組は、中小企業が大半の生コン企業の枠を超えた活動でゼネコンやセメントメーカーによる産業支配を打ち破ってきた。適正な生コン価格を実現するためにJR大阪駅の再開発を4カ月半もストップさせるストライキを決行したこともある(2010年)。そして2018年、空前の労働組合弾圧が始まる。

 組合活動の中で再婚した夫の兄も逮捕され、自宅には家宅捜索が。義兄は組合を脱退、やがて夫も脱退。友人から「捕まるかも」と心配される。それでも松尾さんは闘いを継続する――
 等身大の組合員の、弱さもあっての強さは本当に心打たれる。ぜひご鑑賞を!

 ちば合同労組ニュース 第159号 2023年10月1日発行より