世界中でストライキが頻発・継続中

組合活動

物価上昇に対し賃上げを要求

世界中でストライキが頻発・継続中

 急激な物価上昇に見合う賃上げを求めて世界中でストライキが頻発しています。コロナ流行の直後は医療労働者のストライキが最も切実でしたが、ここにきて運送業や空港、鉄道など物流部門のストが目立ちます。
 世界的なインフレで個別の企業や労働者の水準を超えた賃金減少が生じ、世界的な賃上げ要求の動きとして広範なストが起きているのが特徴です。個別企業のストが他の企業に連鎖し、一つの争議で要求が通ったことが他へのインパクトになっています。

数十年ぶりの規模

 フランスでは、6~7月にかけ、国鉄やパリの地下鉄、各地の空港、石油・ガス施設、送電網、建設業などでストライキが起きました。特に運送業界は低賃金が理由で人手不足が生じ、労働条件が悪化しているのです。
 英国では6月に過去30年で最大規模となるRMT(全国鉄道・海運・運輸労働組合)のストライキが報じられました。10月1日にも17万5千人が再度のストに突入し、9割の列車がストップしました。
 郵便のロイヤルメール社でも11万5千人がストに入りました。組合は10~11月に19日間のストを計画。スト実施で会社は1日あたり110万㌦(約16億円)の損害が発生。
 英国では近年、公共サービス崩壊が加速しています。医療業界の人手不足は10万人を超え、650万人が手術の順番待ち。パスポート更新に10週間、運転免許試験を受けるのにも平均14週も待つ。
 この中で公共部門で働く労働者の積年の怒りが爆発しています。特に看護師や介護士のストが目立ちます(英国の病院は大半が公立)。インフレの原因を労働者の賃上げに求める言説に対し「看護師や介護士は食べていくのに必要な賃金を求めているだけ。それがインフレの原因になっているはずがない」と反論。
 米国でもストは急増し、9月現在で8割増(前年同期比)。鉄道ストにはバイデン大統領が介入しました。

世界中で港湾スト

 欧州の空港ではかつてない規模でストが起きています。原因は大量解雇。コロナで航空便の数が激減し大規模なリストラを強行。国際航空運送協会(IATA)によると、航空業界の直接雇用は世界全体で230万人減少し全体の2割超。英政府の発表では51%が一時解雇のデータも。
 物流関係のストライキも活発で争議のグローバル化が特徴です。ドイツでは、ハンブルグ港など4つの主要港で44年ぶりの港湾スト。
 英国のリバプール港やフェリックスストウ港でも。フ港は、英国のコンテナ貿易の半分を取り扱う英最大のコンテナ港。会社側はインフレ率を下回る賃上げ案を提示し交渉は決裂しました。
 米西海岸では港湾経営団体PMAと労働組合ILWU(国際港湾倉庫労組)は、協約改定(新協定)をめぐり激しい交渉を継続。オークランド港では、ILWUが労働者を半分しか派遣しないなど荷役作業を遅らせるスローダウン戦術を実施し、事実上2週間の閉鎖となった。シアトルやタコマ港でも同様の闘い。
 アマゾン倉庫の組合結成も世界に大きなインパクト。

 ちば合同労組ニュース 第148号 2022年11月1日発行より