京成バス2・6ストライキ(中間報告)

組合活動

(2)睡眠不足でハンドルを握る全国のバス運転手

今回のストライキの過程で、あるバス会社の運転手さんから直接聞いた話ですが、早朝4時から勤務し、明くる日の深夜1時まで働くこともあるそうです。21時間です。
路線バス、観光バス、どのバス会社も運転手不足の中で、基準ギリギリ、あるいはそれ以下の過酷な労働条件で働いています。早朝から深夜までの長時間拘束で不規則な働き方です。過労・睡眠不足でハンドルを握っています。しかも、過酷な勤務に見合わない低賃金の待遇で働いています。
バス運転者を含む自動車運転手の休息時間については、厚生労働省が「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)を定めています。待ち時間や仮眠時間などを踏まえた労働時間管理が必要なため労働基準法とは別に定めています。
この基準では、勤務間インターバルは継続8時間以上となっています。京成バスても、ダイヤ上は8時間+数分となっているようです。午後10時ちょっと前に仕事を終えて、翌日の午前6時すぎから乗務すれば、確かにみかけの計算は8時間のインターバルが確保されています。
しかし、実際には、バス運転手は、運転が終わった後にも、給油や車内清掃、落とし物の対応などさまざまな付随業務があります。そこで、8時間以上のインターバルの確保が難しい時には、本来は運転手のIDカードで行うタイムカードの打刻を管理者が勝手に早めに行うこともあるようです。
実際には8時間を割り込むインターバルで、帰宅し食事や入浴を済ませ、翌日の出勤までにいったい何時間の睡眠が確保できるのでしょうか? 3~4時間も寝られれば御の字です。早朝乗務のために一刻も早く就寝しなければならないプレッシャーはいかほどのものでしょうか。
勤務時間についても、1日15時間を超える日、あるいは月に260時間を超える労働時間の場合もあり、さらには法律の上限である4時間連続の乗務も行われています。これは京成バスだけの話ではありません。今回のストライキを通して寄せられた声によって、京成バスグループ会社では、恐るべき労働実態が蔓延している、その一端を知ることとなりました。バス運転手にとって過労や睡眠不足がどれほど切実な問題なのか。もっと広く社会に問題提起しなければならないと痛感しています。