連載・介護労働の現場から

連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈14〉自立できる①

介護労働の現場から〈14〉 2014年06月01日 自立できる① 私のひそかな利用者自立大作戦の朝が来た。出勤するとAさんとUさんは、朝食後に興奮を抑制する精神病薬を飲んでいるのでおとなしく席に座っている。 「Aさん、おはようございます」。焦点の定まらない目がこちらを向き、にっこりと「おはよう」。 「Uさん、おはよう」。近寄り手を添えて目を合わせると「おはようさん!」。元気がいい。 ...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈13〉君臨VS武闘派

介護労働の現場から〈13〉 2014年5月2日 君臨VS武闘派 この国の65歳以上高齢者のうち認知症の人は推定15%で462万人。家族介護は、認知症が進んだ状態で限界に達することが多い。だから介護施設の利用者は、認知症が圧倒的だ。介護というと身体ケアを思い浮かべる人も多いが、身体に障害がなく認知症だけの利用者に対する「認知症ケア」も介護職の大きな仕事だ。 私のいた職場にも、そのような身体的...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈12〉自立する利用者

介護労働の現場から〈12〉 2014年4月3日 自立する利用者 介護施設という場所は、労働者にとっては職場である。ケアプランに沿ったサービスを労働者が提供する仕事場である。 しかし、入居の高齢者にとっては仮の場所ではなく、生活の拠点。他に行くところもない。所持品も最小限に制限され、日々、時間も行動も、指示され管理される。 利用者の家族は、さまざまな事情があるだろうが、つまりは自分の生...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈11〉介護労働とは

介護労働の現場から〈11〉 2014年03月02日 介護労働とは 労働時間内に2人で仕事をこなすのは大変だ。分刻みでへとへとになるまで働いても、その仕事は利用者に伝わらない。スキルの問題ではなく、なにか根本的なところで間違っていないか? そもそも介護労働とはいったい何なのか? 一生懸命考えた。 資格講習のおばヘル講師は、講習の最後に涙目で、はなむけの言葉。「介護は、お年寄りの世話をする...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈10〉給料に見合った働き

介護労働の現場から〈10〉 2014年2月3日 給料に見合った働き ほとんどの介護施設は激務なので、その日一緒に組むスタッフのスキルや態度に大きく左右される。小さな施設ではまともな新人研修はなく、未経験でも2~3日の見習いでひとり立ち、どれだけガムシャラにやろうと、いきなり完璧にやれるはずがない。もともとなんでもできて、仕事が早く、要領よく、人見知りもなく……、要求されるのは神業に近い。 ...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈09〉労働時間を守ろう

介護労働の現場から〈09〉 2014年1月5日 労働時間を守ろう 私が介護の仕事を続けるためにはまず労働時間、契約書に書いてあるとおりに働く。当然でしょ。 日勤勤務は〈朝9時~18時まで、昼休みは1時間〉という契約書の労働時間を守るためには①仕事は勤務時間内にする②昼休みには職場を離れる。それだけのことだ。 施設の責任者は、「定時に帰らないと残業代は出ないよ」と言っているので「仕事残...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈08〉人権無視して当然

介護労働の現場から〈08〉 2013年12月3日 人権無視して当然 二人は、もう会社に退職を申し出たということで、ファミレスでもう3時間も粘り、ドリンクバーにたまに立つ以外は、しゃべる、喋る。私は、大きな施設のやり方が面白いので、もっぱら聞き役。 tea 「たしかに、介護職長い人はすごいスキルよね。おむつ替えだって、目にも止まらない速さでパッパッ、おしりは3回だけ拭いてOK。ベッ...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈07〉将来性のある職場

介護労働の現場から〈07〉 2013年11月7日 将来性のある職場 「辞めてやる」と思ったが、泣いてばかりいた利用者の赤城さんが最近いい顔で笑うようになったことや、ガンで余命3か月の井村さんがか細い命の灯を点しながら、私の料理だけは頑張って食べてくれることなどを思うと、辞める覚悟で、職場の労働環境を変えようと思った。就職して2か月足らずだが、わずか7名の職場、みんなでどうにかできるはずだ...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈06〉昼飯ぬき、サービス残業当たり前

介護労働の現場から〈06〉 2013年10月06日 昼飯ぬき、サービス残業当たり前 「民家型お泊りデイサービス」は、経営者によると、利用者6名が介護報酬での採算ぎりぎりライン、利用者の介護度によるが、小規模施設では7名以上いないと経営者にとって儲けはないと一般的にはいわれているようだ。 しかも、一時預かりの「難民キャンプ」でコンスタントに7名以上の利用者を確保することは難しい。家庭で問題行...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈05〉介護は奉仕?

介護労働の現場から〈05〉 2013年08月01日 介護は奉仕? 「入居者2名につき1名の手厚い介護」というよくある宣伝文句は、月あたりの総時間数(昼間)を従業員数で割ったものを指す。しかしパートも1名として換算し、実際は24時間介護なので、実態とは大きく乖離する。いつも利用者2名の傍に1名のヘルパーが就いているという意味ではない。 介護の現場は、スタッフがお互いをカバーしながら常に気を抜...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈04〉白鳥の水かき

介護労働の現場から〈04〉 2013年07月06日 白鳥の水かき 介護は24時間で4交代が多いが、私の勤務先は日勤と夜勤の2交代で、日勤は9時から6時まで。 一息つくひまもない激務のタイムスケジュールを紹介しよう。繰り返すが、スタッフは2名。利用者は最大10名までの仕事である。 9時に出勤して夜勤からの申し送り後、1名(A)は車でデイサービスの迎えに行く。その間、1名(B)は泊りの利用者...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈03〉難民キャンプ

介護労働の現場から〈03〉 2013年06月12日 難民キャンプ 介護職といっても資格によって、介護ヘルパー2級(4月から介護職員初任者研修)、介護福祉士、ケアマネジャー(介護支援専門員)などに分類される。それに、施設になれば、看護婦や作業療養士、理学療養士、社会福祉士なども介護サービスに関係する。なお、資格がなくても見習いとして介護職に就くことも可能である。 また、訪問介護と施設介護...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈02〉なぜ介護職?

介護労働の現場から〈02〉 2013年5月6日 なぜ介護職? 異業種から介護職を希望すると、面接で必ず志望動機を訊かれる。介護が専門職なのと、福祉に対する意識調査が目的かと思われる。しかし、応募する側は介護未経験でも、介護は過酷な労働で低賃金だということを承知でいる。他に仕事がなく、やりたくもないのに背に腹替えられず介護をやろうとする応募者に志望もモチベーションもない。あるのは覚悟だけである...
連載・介護労働の現場から

介護労働の現場から〈01〉普通の労働者

介護労働の現場から〈01〉 2013年04月07日 普通の労働者 知り合いに介護(高齢者の)の仕事に就いているといえば、返ってくる返事は、きつい、汚い、給料安い……といった類いのものが多く、「奇特な人」扱いか、底辺労働するほど生活に困っているのか……という差別的な目で見られる。 逆に、福祉行政とか介護ビジネス、つまり安い対価で介護の人手を確保したい、老人からの金儲けをたくらむ側からは、...