連載・介護労働の現場から

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連載・介護労働の現場から〈働き方編9〉サービス残業しない方法

連載・介護労働の現場から〈働き方編9〉 サービス残業しない方法  介護業界は、休憩取れない、残業代が支払われないという労基法違反が横行している。  人手不足のため、目いっぱいの過重労働でも時間内に仕事がこなせない。「しかたない」「利用者のために」と改善をあきらめている労働者こそが、サービス残業を横行させている根本原因。  辞めて転職しても、介護業界はどこもサービス残業のオンパレード、そもそも国の人...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編8〉 それ労基法違反

連載・介護労働の現場から〈働き方編8〉 それ労基法違反ですから  介護業界は、人手不足と命を預かる現場だからという理由で、労働基準法違反の労働慣行が平気でまかり通っている。違法な職場ルールをチェックしてみよう。 ①サービス残業  人手不足だと、当然、時間内に仕事が終わらない。次のシフトにその仕事を押しつけて、「ハイ、さよなら」と帰ることはできない。  それに、利用者に不測の事態、救急搬送とか介護拒...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉

連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉 新人ウエルカム ▼仕事ができない人 介護は人手不足のせいか、ちょっと介護にはどうかな? という人も入職してくる。 たとえば、動作がスローモー、うつっぽくってしゃべらない人、空気読めない発達障害っぽい人、ため口しか聞けない、集中力がなく、途中で投げ出す、融通聞かない人…。 十数年前、派遣切りの労働者に無料で職業訓練を受けさせて介護の仕事に誘導しようとした雇用政...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉感情を押さえつけない

連載・介護労働の現場から〈働き方編6〉 感情を押さえつけない 突破口は泣き言 入職して数か月経ち、身体を動かすことに慣れると同時に腰痛が始まり、疲労がたまっていることを自覚するようになる。どうしてこんなに仕事がきついのか? でも聞いてくれる先輩もなく、さらに極め付け、16時間勤務の夜勤の仕事も始まり、もうこのままでは「殺される~」と、3か月くらいで辞めてしまうことも多い。 そこで突破口。泣き言を現...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編5〉機械とパソコン

連載・介護労働の現場から〈働き方編5〉 機械とパソコン 機械化で腰痛を防ぐ 90年代に先進国では、健康被害を理由とした労働者の要求で介護の機械化が行われた。導入にさほど労使の対立はなかった。日本では、労働基準法でモノの取り扱いには重量制限があるが、対人労働はその重量制限から外されているため、介護職は腰痛などの健康被害が慢性化している。 ところが現場の労働者にはリフトなどの介護機器は評判が悪い。「介...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編4〉

連載・介護労働の現場から〈働き方編4〉 介護スキル 誰に教えてもらうか 「愛されキャラ」必須最低条件は、身体介護ができること。 そのスキルを習得するのに、一番だめなのは、引っ込み思案。自分の業務で手一杯の先輩は、待っていても丁寧に教えてくれない。だから短期間でスキルを習得するには、刷り込み学習しかない。 これは、と思う先輩を決め、その後を生まれたてのアヒルのようにずっとついて回る。ひたすら真似をし...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編3〉自己マニュアルと日課表

連載・介護労働の現場から〈働き方編3〉 自己マニュアルと日課表 ※手順を身に着ける 施設内のマップはできたかな? これは便利。コピーしてスタッフに普及させよう。緊急避難にも役立つし、日照など居室環境の維持、利用者との話題にもなる。じっくり見ると、設計の良し悪しでその事業所の経営理念まで透かし見ることができる。 次にマニュアル。マニュアルはいわば仕事の手順、これもなければ作る。 これまでのマニュアル...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編2〉自己オリエンテーション

連載・介護労働の現場から〈働き方編2〉 自己オリエンテーション 身体で覚えろ 職場であいさつ終われば、さっそく仕事。職場に回される前に座学研修やオリエンテーションがある施設も増えたが、介護はまだまだいきなり現場の業界。 最初から身体介護はやらせない。まずは、フロア(呼び方は施設によりいろいろだが利用者が居室以外に集まる部屋)での見守り。利用者が椅子やソファ、車いすで座っているのを「何にもしないで観...
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連載・介護労働の現場から〈働き方編1〉

連載・介護労働の現場から〈働き方編1〉 パルチザン 働き方。まず介護事業者は、従業員十人程度の小規模から数十万程度の大手まである。大手でも1事業所はせいぜい百人程度の利用者で介護職は40~60人くらい。 大手のブランドで安定をとるか? 楽しく介護の仕事をすることをとるか? 目的によって働き方は異なる。この欄では後者の働き方を念頭においてるよ。 採用されて介護は初めてだと仮定して、働き方の稿を進めま...
連載・介護労働の現場から

連載・介護労働の現場から〈働き方編〉 出発

連載・介護労働の現場から 〈働き方編〉 今号より『介護労働の現場から』パート2〈働き方編〉を開始します。筆者は前シリーズと同じく「あらかん」さんです。 「これ以上、働けない」からの出発 私が介護の仕事を始めた4年前と現在とは、介護労働に携わる人がずいぶん様変わりしていると感じる。 いわゆるオバヘルといわれていた中高年女性はかなり減り、施設介護などは異業種から転職してきた30代~50代の人が中心にな...
組合活動

連載・介護労働の現場から〈あとがきにかえて〉

連載・介護労働の現場から 〈あとがきにかえて〉 年寄りは未来 魔法とパイオニア精神で乗り切ろう 36回・3年もの連載、ずっと読んでくださった方に感謝の気持ちでいっぱいです。 連載にある通り、私は、介護職の最初の職場は8か月、2度目はたった2か月で退職した。その時点で2013年1月。普通なら、こんなめんどくさい業界、自分に向いてないと辞めてしまうところだろうが、それから転職を繰り返し、さらに3年以上...
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連載・介護労働の現場から〈36〉最終回

連載・介護労働の現場から 〈36〉最終回 二度目の失業 最後の日の退社時間がきた。 ロッカーの荷物をまとめていると関口さんが来て「あの文章、私のこと?」と訊いた。 「ご想像におまかせします」と答えたら、「甘いわね。辞めたほうが負け。私なんか2日に1回整体に行って体ボロボロ。そんな仕事よ」と腰痛コルセットをバリバリはずしながら得意げに言う。その腰痛コルセットは勲章? 格闘技おたくか? 施設の外のバス...
医療・介護

連載・介護労働の現場から〈35〉 告発文

連載・介護労働の現場から 〈35〉 告発文 私は辞める決心を三田村さんに伝えた。 三田村さんから他のパートにも伝ったが秘密にされた。「とても2か月しかいないとは思えない。2年はいる感じ」といわれるほど職場や入居者に馴染んでいたし、プリセプター丸山くんも「仕事ができるようになったね」といい評価をくれていた。 でも、辞めるのだ。 私だって執拗なモラルハラスメントでおかしくなっている。仕事中でも関口さん...
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連載・介護労働の現場から〈33〉 新人教育

連載・介護労働の現場から 〈33〉 新人教育 介護現場は、大手といえど、どこも人手不足で、職員はタイトなスケジュール下、新人指導を担当するのはすごい負担だ。 マジ、教えているヒマも心の余裕もない。だから、新人はほったらかされ、佇(たたず)んでると、担当外の人から細切れの仕事をいいつけられる。 そんな状態では、仕事のながれも理解できないし、何をやるべきかもわからず、ただ、叱られないようにどう動けばい...
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連載・介護労働の現場から〈33〉モラルハラスメント

連載・介護労働の現場から 〈33〉 モラルハラスメント 関口さんは、福祉の専門学校出の新卒でこのホームに就職して、12年のベテランである。村松係長より長い。介護スキルもすごく、元コールセンターの同僚が話していたおむつ替え1分、高速食事介助2分を思い出した。 仕事を時間どおりまわすことが介護だと思っているタイプ。入居者とも長年の顏なじみで、現場を取り仕切っていた。ただ、介護居室の入居者には人気がなく...
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連載・介護労働の現場から〈32〉真打ち登場

連載・介護労働の現場から 〈32〉 いじめの真打ち登場 百瀬さんの顏は蒼白で、その側で二ヤけてる染谷さん。マンガの世界だ。三田村さんと私で百瀬さんを支え、休憩室に連れて行った。 上司を呼ぶべきだと思った。課長は不在だ。村松係長を呼んだ。ちらっと見て「もう、早退したら」と言っただけだった。 三田村さんに「三人で早退しようよ」と提案し、ナースステーションにいた看護師にその旨を伝え、三人で施設を出て、ホ...