労働映画

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米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー

映画紹介『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』  沖縄の政治家・瀬長亀治郎の生涯を描く。2017年夏の公開時、那覇市の映画館は猛暑にも関わらず何百㍍もの行列ができ「カメさんに会いに来た」と高齢者が並んだ。今なお沖縄県民に慕われる大衆政治家なのだ。映画は、映像・インタビュー・本人の肉声、そして230冊に及ぶ直筆の日記などで構成される。瀬長の生涯と共に沖縄の戦後史、そして現在の沖縄を浮き彫りにす...
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ぽっぽや(鉄道員)

映画紹介『ぽっぽや(鉄道員)』  言わずと知れた高倉健の主演で99年に映画化。健さん演ずる佐藤乙松は、北海道の幌舞線の終着駅の1人駅長で間もなく定年退職。北海道有数の炭鉱町でかつては石炭を満載したD51が往還したが最後の山も採炭をやめ、ローカル線である幌舞線は乙末の定年退職と共に廃線が決まる。  〝ぽっぽや〟の呼称は、「汽車ぽっぽ」のぽっぽで本来は揶揄的に使う言葉だと思うのだが、使命感を持って鉄道...
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ハッピーフライト

映画紹介『ハッピーフライト』  機長昇格訓練中の副操縦士や新人CA(客室乗務員)、退職希望のグランドスタッフ(空港業務)、管制官やディスパッチャー(運航管理者)、整備士やバードパトロールなど航空業界を支えるさまざまなお仕事を描く。1時間43分と短めの映画だが各職種のエピソードが巧みに織り込まれている。  ストーリーは、ホノルル行きのジャンボ機がバード・ストライク(鳥の衝突)による故障により離着した...
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舟を編む

映画紹介『舟を編む』  時間がなかったので昔に観たのを思い出しながら…。  国語辞典『大渡海』の刊行計画を進める出版社が舞台。しかし辞書編集部のベテラン編集者は定年間近、後継者探しが急務だった。松田龍平が演じる新入社員・馬締は、真面目すぎて職場で浮いていたが、卓越した言語センスを見出され辞書編集部に異動することに。  「ら抜き」言葉や「憮然(本来は「落胆してどうすることもできない様子」の意だが、最...
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焼肉ドラゴン

映画紹介『焼肉ドラゴン』  大阪万博の1970年。伊丹空港近くの国有地を〝不法占拠〟しバラック小屋の「焼肉ドラゴン」を営む龍吉と英順は、静花ら三姉妹と末の時生の6人暮らし。「たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとええ日になる」が龍吉の口癖だ。  敗戦直後の焼け野原ではよくあった話なのだが、復興と高度成長を経てそんなことがもう最後の時代。一家は立ち退きを迫られる。『屋根の上のバイオリン弾き』をオマージ...
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『サンシャイン・クリーニング』

映画紹介『サンシャイン・クリーニング』  ごく簡単にいえば、〝負け組〟姉妹が一発逆転を狙って始めた「特殊清掃」の仕事を通してさまざまな経験を積み、人生を見つめ直し、家族で困難を乗り越えていく物語。  主人公ローズは、高校時代はチアリーダーで華やかな学生時代を送ったが、現在はシングルマザーで高校時代の元彼と不倫中。息子のことで学校から呼び出しも多い。生活は苦しくハウスクリーニングの仕事で食いつなぐ。...
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クライマーズハイ

映画紹介『クライマーズハイ』  520人が死亡し、史上最悪の事故となった日航123便墜落事故。事故現場となった群馬県の地元新聞社を舞台とした映画だ。観たのは2回目。かなり昔だが小説も読んだし、ドラマ版も観ました。お仕事映画としてもおすすめ。  85年8月12日夕刻、「524人を乗せた日航123便が消息を絶った」のテレビ速報が飛び込む。編集局は騒然となりベテラン記者の悠木が取材・出稿を仕切る全権デス...
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おみおくりの作法

映画紹介『おみおくりの作法』   良質のお仕事映画を発見した。新聞記事の「孤独死した人物の葬儀を行う仕事」から着想を得たという英国映画。  ロンドン市ケニントン地区の民生係として働くジョンは44歳の独身男。孤独死が見つかると役所のジョンのところに連絡が入る。彼は遺体搬送後の住居から故人の親戚や知人の情報を探し、訃報を知らせ、遺品を引き渡す。身寄りが見つからない場合は葬儀の手配も。会葬者が彼1人の時...
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川の底からこんにちは

映画紹介『川の底からこんにちは』  満島ひかり主演のコメディ映画。満島が演ずる佐和子は、上京5年目の派遣社員で5つ目の職場、5人目の恋人は子連れバツイチ上司の健一。夢も希望もないストレスまみれの日常生活で、「私は中の下」「しょうがない」が口癖だ。  そんな佐和子が、父親が病で倒れ、故郷のシジミ工場の社長業を引き継ぐことに。実は5年前に実家を飛び出し故郷には戻りづらい。しかし仕事を辞めた健一に促され...
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タクシー運転手~約束は海を越えて~

映画『タクシー運転手~約束は海を越えて~』  時々息をするのを忘れるような映画だった。自分が生きてきた同時代に隣国でこんな「事件」があったのだ。38年前の1980年5月、韓国光州市を中心に起きた民衆蜂起と軍による大量虐殺(光州事件)を描く映画。  独裁者として君臨した朴正煕(パクチョンヒ)大統領が暗殺され、「ソウルの春」と呼ばれた民主化ムードが続く中、全斗煥(チョンドファン)がクーデターで権力を掌...
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マルクス・エンゲルス

映画紹介『マルクス・エンゲルス』  『共産党宣言』誕生までの若きマルクスとエンゲルスの出会いと闘いを描く。  冒頭、森林で薪拾いする農夫を窃盗として官吏が襲撃するシーンから始まる。日本昔話でもお馴染みだが、元来、森林の枯木を生活の糧とすることは住民の習慣的権利だった。当時、製鉄に木材が使われており森林所有者は政府に働きかけて木材窃盗取締法を制定し、過酷な取り締りを行ったのだ。  ライン新聞の編集長...
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獄友

映画紹介『獄友』  冤罪青春グラフティ/やっていないのに、殺人犯/人生のほとんどを獄中で過ごした男たち/彼らは言う「不運だったけど、不幸ではない」……  狭山事件の石川一雄さんの名前は知っていたが、これまで集会に参加する機会もなかった。とある集会でチラシを手にし、石川さんら実在する5人の冤罪被害者が出演しているドキュメンタリー映画というのに惹かれて観に行った。  「布川事件」の強盗殺人犯として29...
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1987、ある闘いの真実

映画紹介「1987、ある闘いの真実」  翌年のソウル五輪を前に1987年のソウルは、全斗換軍事政権に対する民主化闘争が爆発していた。「北のスパイ」容疑で秘密警察の連行や拷問が常態化していた。映画は87年の「6月民主抗争」を描く。ソウル大学生・朴鐘哲が特高警察に殺される。この死に不審を感じた公安部チェ検事は恫喝を受けながらも遺体の保存を求める。  東亜日報が事件を報じ、延世大学では抗議デモ。白骨団(...
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リトルダンサー

映画紹介『リトルダンサー』  1984年の英国の炭坑町で暮らす11歳の少年ビリー・エリオット。母を幼い頃に亡くし、父と兄は炭鉱で働く。サッチャー政権による炭鉱閉鎖と解雇の厳しい時期が映画の舞台だ。父と兄もストに参加している。ビリーは父の勧めでボクシングジムに通うが殴り合いには馴染(なじ)めない。  ある日、ジムの隅でバレエ教室が開かれることに。次第にバレエに魅せられるビリー。内緒のバレエ教室通いを...
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ゲッペルスと私

映画紹介 「ゲッペルスと私」  「何も知らなかった。私に罪はない」。主人公のボムゼルはナチスの宣伝大臣ゲッペルスの秘書だった。撮影時103歳とは思えない記憶力と言葉で語り続ける。  彼女は1933年にナチスが政権を握った時に党員となり、42年には宣伝省に入省、同年代の労働者より格段に高い収入を得る。ボムゼルは、与えられた仕事を従順にこなすだけでナチスが何をやっているか分からなかった。政府に反逆した...
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下町の太陽

映画紹介「下町の太陽」  倍賞千恵子主演、山田洋次監督の1963年の映画。同タイトルのヒット曲を映画化したもので東京都墨田区曳舟の近くにあった資生堂の工場とその周辺が舞台だ。  寺島町子(倍賞)は石鹸工場で働き、同じ工場の事務職員の毛利と交際中。毛利は本社勤務を目指して正社員試験の勉強に励む。正社員になって下町を出て郊外の団地に住むのが夢だと語る毛利に町子は少し違和感。ある日、町子は同じ町の鉄工所...