労働映画 映画紹介『彼女たちの革命前夜』 映画紹介『彼女たちの革命前夜』 2019年の英国映画。半世紀前の1970年のミス・ワールド世界大会の会場で女性解放を訴えるために抗議行動を行った女性たちを描く。 離婚し、娘や母親と暮らすサリーは、再び学問の道を志しロンドン大学の入学試験の面接に。面接官は男性ばかりで権威主義。入学後、ゼミでは発言を遮られ、女性労働者の視点で論文を書きたいと言うと「普遍性が必要だ」と変更を求める教授。そんな中で女性解... 2023.08.02 労働映画
労働映画 映画紹介『キネマの神様』 映画紹介『キネマの神様』 原田マハの長編小説を山田洋次監督が映画化し、2021年8月に公開された。当初は志村けんと菅田将暉が主演の予定だったが、志村のコロナ感染による辞退とその後の急死、政府による緊急事態宣言を受けて撮影が中断された。 その後、沢田研二を代役に撮影が再開された。おそらく脚本は志村けんで当て書きされたまま撮影され、セリフや仕草も沢田が志村を演じる感じになっている。東村山音頭を歌うシー... 2023.05.02 労働映画組合活動
労働映画 映画紹介『事件記者』 NHKのテレビドラマ(1958年~66年)の映画化第1弾。警視庁詰めの新聞記者が所属する「警視庁桜田クラブ」を舞台に特ダネを狙う事件記者を描く。「事件記者」の単語はこのテレビドラマで定着したらしい。 警視庁の記者クラブには各社から腕利きの記者が派遣されている。映画は2人の新人記者の配属シーンから始まる。その日、品川駅で新宿のヤクザの親分が撃たれる。新宿と六本木の縄張り争いか!? だが重傷を負った親... 2023.04.22 労働映画
労働映画 映画紹介『怒りの葡萄』 映画紹介『怒りの葡萄』 スタインベックの小説を映画化。舞台は世界大恐慌後の30年代末の米国。大規模な資本集約型農業が拡大し、米中西部で深刻化したダストボウル(開墾で発生した砂嵐)で耕作が不可能となり流民化する農民が続出、社会問題となっていた。本作は、さらなる機械化を進める資本家と土地を追われカリフォルニアに移っていった貧農たちとの闘争を材料に故郷オクラホマ州を追われたジョード一家を描く。 トム・ジ... 2023.03.01 労働映画組合活動
労働映画 映画紹介『家族を想うとき』 映画紹介『家族を想うとき』 前から見たかった映画だが数多いケン・ローチ作品の中で観ていて一番ツライ気持ちに。名匠ケン・ローチが引退表明を撤回して撮った映画がこれほどツライ内容にならざるを得ない。これが新自由主義とグローバリズム経済の世界の現実なのか。もちろん希望を紡ぐ場面も随所にあるのですが…。 英国の東北部の工業都市ニューカッスルに住むある家族を描く。主人公リッキーは、マイホーム購入の夢を叶える... 2023.01.31 労働映画
労働映画 映画紹介『ベトナムの風に吹かれて』 映画紹介『ベトナムの風に吹かれて』 松坂慶子主演の日本とベトナムの合作映画(2015年)。ベトナムで働く日本語教師が80歳を過ぎた認知症の母親と共にベトナムでの生活を綴ったエッセイ『ベトナムの風にふかれて』が原作。実話とのこと。 ベトナムの首都ハノイで日本語教師として働く佐生みさお(松坂慶子)のもとに父の訃報が届く。故郷の新潟で目の当たりにしたのは認知症のため夫の死さえ理解していない母(草村礼子)... 2022.12.27 労働映画
労働映画 映画紹介『海すずめ』 映画紹介『海すずめ』 2016年公開の愛媛県宇和島が舞台の「ご当地映画」。 主人公の赤松雀(武田梨奈)は宇和島市立図書館で自転車課で働いている。自転車で図書を市民に配達する仕事だ。主人公の雀が図書館自転車課という仕事を通じて故郷とその歴史を知り、成長していく姿を描く。 雀は夢だった小説家として華々しくデビューしたが2作目が書けず故郷に戻って挫折感を持った中途半端な日々を過ごしている。地元は宇和島伊... 2022.12.01 労働映画
労働映画 映画紹介『定められし運命』 映画紹介『定められし運命』 2012年のフランス映画。時代は第2次世界大戦。ナチスドイツに占領されたアルザス出身の17歳の少女アリスとリゼットは家族から引き離され労働奉仕施設での軍事訓練後に弾薬製造工場で働くことに。 アリスは聡明で気が強くドイツ人に屈しない。他方、リゼットは従順な態度で親衛隊の上司からも評価される。アリスはそんなリゼットが大嫌いだった。しかし、脱走に失敗したアリスをリゼットがかば... 2022.10.31 労働映画
労働映画 映画紹介『富士山頂』/台風観測のため巨大レーダー建設 映画紹介『富士山頂』 石原裕次郎が主演の1970年の映画。原作は新田次郎。 富士山頂にある富士山測候所に台風観測のための巨大レーダーを建設する様子を描いた作品。昭和初期から1950年代にかけて伊勢湾台風など巨大台風が来襲し甚大な被害をもたらした。しかし当時は気象レーダーも気象衛星もなく日本列島から海上の台風を捉えることは困難だった。富士山頂に巨大レーダーを設置すれば800㌔先の台風を監視できる。 ... 2022.10.04 労働映画
労働映画 映画紹介『群衆』 映画紹介『群衆』 ゲイリー・クーパー主演の1941年の米映画。時代設定は第2次世界大戦の開戦(39年)前後と思われる。 新聞社の経営者が交代し大リストラが始まる。解雇通告された記者アンは腹いせに架空の人物ジョン・ドゥーからの投書を題材に最後のコラムを書く。皆に職がないのは腐敗した政治のせいで抗議としてクリスマスイブの夜に市庁舎の屋上から飛び降りる、と。ジョン・ドゥーは「名無しの権兵衛」のようなニュ... 2022.09.02 労働映画
労働映画 映画紹介『鉄路の闘い』 映画紹介『鉄路の闘い』 1946年のフランス映画。監督は『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』など日本でも有名なルネ・クレマン。ナチス占領下のフランス国鉄の機関区が舞台。フランスの鉄道労働者たちが独軍の列車運行を阻む抵抗運動を描く。出演者の多くはプロの俳優ではなく実際にレジスタンス運動に加わった本物の鉄道労働者で、本物の列車や駅、機関区を使ってドキュメンタリー映画の手法で撮影されている。 燃料を抜き... 2022.07.29 労働映画
労働映画 映画紹介『モリーマグワイア(邦題・男の闘い)』 映画紹介『モリーマグワイア(邦題・男の闘い)』 1969年制作の米映画。1870年代の米ペンシルバニアの炭坑が舞台。アイルランド移民の抗夫は労働組合に結集したが、さらに秘密結社「モリーマグワイア(モリーズ)」が組織され、過酷な労働と生活のために闘った。 そんな中、ジェームスという労働者が仕事を求めて鉱山にやってきた。新顔に対し、モリーズの指導者キーオたちは警戒し喧嘩になるが次第に彼を信用するように... 2022.07.02 労働映画
労働映画 映画紹介『生きとし生けるもの』 映画紹介『生きとし生けるもの』 山口県阿武町で新型コロナ対策の給付金4630万円を誤って振り込んだ事件で思い出した映画。『路傍の石』が有名な山本有三の未完の小説を1955年に三國廉太郎の主演で映画化したものだ。 炭鉱会社の本社労務課に勤める伊佐早靖一郎(三國)は帰宅後、賞与袋に1万円多く入っていることに気付く。当時の大卒公務員の初任給より多い金額だ。一度は会社に戻り返金しようとするが、学費を滞納す... 2022.06.10 労働映画
労働映画 映画紹介『メイド・イン・バングラデシュ』 映画紹介『メイド・イン・バングラデシュ』 バングラデシュは輸出の8割をファストファッションなど衣類が占める縫製工場が集中する国だ。2013年、ラナプラザ崩壊事故で1100人を超える労働者が生き埋めになる大惨事が発生。最貧国の女性の安い労働力でコストパフォーマンスの良い商品を大量生産するグローバル資本の酷さを鋭く示す象徴として知られてきた。 映画は、過酷な環境で働く女性たちの実話をもとに作成された。... 2022.06.10 労働映画
労働映画 西部戦線異常なし 映画紹介『西部戦線異常なし』 ロシアのウクライナ軍事侵攻で、この映画が思い浮かんだ。第一次世界大戦における西部戦線(独仏国境沿いの戦線)を描いた映画。反戦映画として最も著名な映画の一つ。原作はドイツの作家レマルクの長編小説。第一次大戦は、欧州だけで6千万の兵士が動員され、1千万人以上が戦死した。 現代の戦争は総力戦だ。その性格を特徴づけたのが第一次世界大戦だった。大量消費・大量動員・大量破壊を特徴... 2022.03.31 労働映画
労働映画 炭坑 映画紹介『炭坑』 1931年の独仏合作映画。1906年に仏北部で実際に起きた20世紀最大の炭坑事故(犠牲者1099人)がモデルですが、映画は、第1次大戦後の仏独の複雑な国民感情を背景に、炭坑は独仏国境地帯の設定となっており、ドイツ人炭坑夫たちが国境を越えて救援に向かうストーリーです。 映画の公開時期は、ナチスが政権を取るわずか2年前。第1次大戦の敗戦国ドイツは巨額の賠償金を課せられ、大恐慌が直撃し... 2022.03.04 労働映画